酸化還元電位のはなし:ORPの測定
1.ORPの測定
ORPの測定には、pH計のmVレンジ、または、同等の入力抵抗を有する電位差計と白金電極および比較電極を用います。
下図のように測定しようとする水溶液に両電極を挿入し、得られる電位差を読み取ります。
実際には白金電極と比較電極が一体になった複合電極が用いられています。
この場合に使用される比較電極は、先に述べた標準水素電極とは異なり、銀/塩化銀電極やカロメル電極が用いられるので、得られた値は正しいEhの値ではありませんので注意が必要です。
正しいEhの値を求めるには、使用した比較電極と標準水素電極の電位差の値(表1を参照)を測定値に加えます。
例えば、飽和塩化銀比較電極を用いて25℃の水溶液を測定した際の測定値が450 mVだった場合、
Eh=450+199=649〔mV〕 となります。
ORPの測定は、一般的に白金電極を用いて行われていますが、経験的に白金電極では測定しにくい液、例えばシアン廃水の処理液やメッキ液の管理等では金電極が使用されています。
2.測定精度について
キンヒドロン飽和溶液では、±10 mVの精度でORP測定を行うことができますが、実際の試料水はキンヒドロンチェック液ほど安定した液ではありません。特に酸化還元物質の濃度が薄い程(電気伝導率が小さい程)、測定頻度が多く電極表面状態が変化しているほど測定誤差を生じやすくなります。そのため、実際のORP測定精度は、±50〜200 mV程度となることがあります。
3.白金電極の取り扱い方法
白金電極は、表面が酸化され酸化被膜を形成する、塩素と反応し塩化物を形成しやすいなどの理由により、白金電極の表面状態が変化しORP測定に影響を及ばす(誤差を生じる)ことがありますので、適宜電極表面を再生処理する必要があります。
4.白金電極の再生
白金電極表面は、使用頻度、測定サンプルにより、酸化物や塩化物の形成で変化し、正しい測定ができなくなってきます。性能を回復させるには、白金極表面を研磨する方法が最も有効です。(研磨剤は弊社指定のものをご使用ください)