イオンのはなし:イオン電極の特質
1.迅速・簡便そして連続測定が可能です
イオン電極は、排水計測や環境汚染の監視、工場での連続的な濃度管理など、迅速性と簡便性、また連続測定できる点があいまって多方面で利用されています。
2.他分析で不得手な陰イオン電極が豊富です
原子吸光度計、分光光度計、その他の分析機器も金属イオン分析用が多く、陰イオン分析は不得手としています。
イオン電極はハロゲン、硝酸、シアンイオンなどの陰イオン測定電極が多数販売され、簡単な操作で測定できます。
3.特定イオンのみ選択的に測定します
例えばふっ化物イオン電極は遊離している(F-)だけに感応し、錯体になっているようなものは測定しません。
4.イオン電極はイオンの活量を測定
イオン電極に発生する起電力はイオン活量の対数に比例するのであって、濃度ではありません。
濃度を知るために既知の標準液を使用して起電力対濃度との検量線を作っておき、未知濃度液の起電力を測定し検量線から濃度が得られるわけです。この場合イオン強度を考慮する必要があります。
一般にイオン強度が大きくなるとイオンの同一濃度においてもイオンの活量が小さくなります。このことはイオン標準液中のイオン強度と被検液のイオン強度が違うと誤差が生じるということを意味し、またイオン強度が違うと検量線が動いてしまいます。
これを防ぐために標準液と被検液のイオン強度を一定にする必要があり、イオン強度調整剤(ISA:イオン測定に無関係な強電解質の塩)を添加します。
イオン強度が一定になれば測定液の活量係数が等しくなりイオン濃度は活量に比例し、イオン電極の発生起電力に比例することになり正しいイオン濃度が得られます。