製品情報
「自動化学分析装置」モデルチェンジを発売
2005年05月31日
東亜ディーケーケー株式会社(社長:山﨑正知、本社:東京都新宿区)は、昨年12月「自動化学分析装置」をリニューアルし、発売しました。それ以降何台かの製品を出荷し、稼動実績が蓄積されつつあります。
このほど発売した「自動化学分析装置」は、4世代目に当たります。初代の化学分析計は、1973年に,第1世代1号機を出荷しました。ある、石油化学ブラントに納入されたもので、酸濃度を中和滴定法で測定するものでした。それ以来、ユーザーニーズに応える製品として、ユーザー層に徐々に浸透し順調に出荷台数を伸ばし、2005年の初荷が1,000台目となりました。ちょうどこの1,000台目の出荷時期に、第4世代のモデルチェンジが完了しました。次の1,000台を目指し、更なる拡販活動を展開してまいります。
第1世代開発当時、当社は、「実験室の自動化」というテーマの下、医療用生化学分析装置を中心とする化学分析装置を手がけており、化学分析に必要な、サンプルの定量採取機構、試薬添加機構、恒温槽などの反応機構、検出器としての比色計などを、自動化に適した機能・性能を持ったものとして設計し、これらの組み合わせとしてユーザーニーズにマッチする製品として作り上げる手法を開発しておりました。
この技術は、当時揺籃期にあった「マイクロコンピュータ」をいち早く化学分析計に導入することによって確立されました。当時、化学分析装置に導入される「マイクロコンピュータ」は「計算機」としての用途であり、検出器から得られる生データから濃度換算するための検量線の演算に活用されていました。自動分析装置の動作制御は、リレーシーケンスに頼っておりました。この方法は、「ハードウエアによる制御」であり、柔軟性に欠け、化学プロセスによって変わる測定項目や測定手法の要求に応えることは極めて困難でした。当社は、この動作制御にも「マイクロコンピュータ」を導入し、要求に合わせてソフトウエアを変更することで柔軟性を確保しました。化学分析装置「ソフトウエアによる制御」は、当社が最初に導入したものと自負しております。
第1世代の「自動化学分析装置」は、1977年までに3台を出荷しましたが、ユーザーインターフェースとしての表示機構、設定値入力機構が十分でない(主として測定結果を表示するための数桁のLED表示器を装備し、主要な設定値のみディジスイッチで設定可能とした程度でした。)ことなどの弱点を克服し、マイクロコンピュータをさらに活用するため、第2世代の開発を進めました。
第二世代は、表示器として、CRTを装備し、各種設定値もテンキー操作で入力可能としたものです。各種設定のテンキー入力化は、装置の使いやすさを大幅に向上させました。第1世代の測定対象が酸、アルカリ濃度、と銅濃度であり、いずれも滴定法によるものでしたが、第二世代では、より幅広い測定手法に対応することが可能となり、ボイラー水中のシリカ濃度、水酸化ナトリウム製造工程における塩水中カルシウム、マグネシウムなど比色法による測定にも多数導入されました。
この機種では、「分析」のみならず、プロセス分析では不可欠な、試料のろ過などの前処理装置とのタイミング信号授受、プロセス側との信号授受など、外部機器との連携も増加しました。
第2世代は1987年までのほぼ10年間に187台を出荷しその使命を終えました。
第3世代は、さらに柔軟性を強化し、動作プログラムもユーザーが設定できる形としました。試料定量採取機構などのハードウエアをどのタイミングでどのくらいの時間動作させるかをキー入力で設定できる機能を盛り込みました。第2世代では、これらの動作はソフトウエアで決定〈固定〉されており、「この部分の動作時間をもう少し延ばしたい。」と言った要求が出たとき、ソフトウエアそのものを修正し、ROMを交換する、という作業が必要で、多くの時間を要しました。第3世代はこの問題を解決し、動作タイミングなどをキー入力で修正可能とし、通常の動作プログラムはRAM上で動作するものとしたため、単純な修正ならその場で対応できるようになりました。この機能は、ユーザーに、「ちょっとした修正はメーカーに依頼することなく自分でできるようになった(時間とコストを低減できる)」という大きなメリットをもたらしました。また、当社にとっても、その都度ソフトウエアを設計する必要が無くなり、納期短縮とコストダウンの効果をもたらしました。
また、この世代の登場により、プログラム容量も大きく増大したため、従来は外部機器としての扱いであったろ過装置なども自前で設計制作し、分析計と一体として制御することが可能となりました。
このような機能強化は、複雑な分析処理にも対応する道を開き、測定対象の幅を大きく広げました。当社製品の需要分野の大きな柱の一つとして「環境測定」があります。大気中のNOX,SOX,オゾン、水中のCOD、窒素・りんなどは需要も多く、専用機器として設計制作されております。しかし、必ずしも需要が多くなく、分析もかなり複雑で自動化の難しい(水中のシアン、フェノールなど蒸留という前処理を要求されるものなど)ものも、少ないとはいえ要求があります。CODに関して言えば、過マンガン酸法による測定手法は日本独特のものであり、海外ではクロム酸法が主流で、東南アジアからはこの手法によるCOD計の要求があります。公定法通りの自動化を実現し、マレーシアなどの日系企業を中心に10台ほどを出荷しました。
第3世代の1号機は1986年に出荷され現在までのほぼ20年間に、712台を出荷しました。この間、同様の思想でより簡素化した廉価版も開発し、106台を出荷しております。
2004年末までに、1973年の1号機出荷以来、合計999台を出荷いたしました。第4世代の開発はちょうど1,000台出荷の節目に完了したこととなります。
今年、3月環境省が環境管理局水環境部長名で都道府県知事及び政令市長宛に「水質汚濁防止法の徹底について」という通知を出しましたが、これは、複数の大手企業による環境水質にかかわるデータの「虚意の記録」を受けての異例のものです。手分析を行い、人が記録することだけでは,このような問題は解決し切れません。できるだけ自動化し、自動的に記録していくことが求められると思われます。このためにも、複雑で自動化しにくい測定対象についての安価な自動化が強く求められることは間違いありません。当社の自動化学分析装置はこのような分野にも広く応用できるものであり、今後ますますお役に立てるものと考えています。第3世代はこのような分野に大きな一歩を踏み出しましたが、価格の面で必ずしも十分でないこと、コンピュータ技術がさらに進歩しており、パーソナルコンピュータが分析や化学プロセス制御の現場でも活用されるようになっている現状を踏まえ、このほど、第4世代の化学分析装置を発売しました。基本的な思想であった「実験室の自動化」を踏襲し、ユーザーニーズにマッチした「イージーオーダー分析装置」として今後さらに拡販していく所存です。
第3世代では、動作プログラムをキー操作で設定できるものでしたが、第4世代は動作プログラムはパソコン上で組み上げ、CFカードを介して装置にセットする方式としました。現場のキー操作では大きな修正はやりにくいものでしたが、この方式の採用で、落ち着いて〈環境の良い事務室で〉修正作業を行うことができます。また、CFカードには測定値を記録することができ、パソコン上でデータの整理を行うことも可能となっています。
使いやすさを重視した設計としており、当社にとっても、新たな分析計の開発(開発途上でいろいろ条件を変えて確認することが求められるため、この装置は極めて有用です)にこの計器を用いるなど有効活用しております。電力中央研究所殿が開発された測定手法を用いた「排水中ホウ素」測定についても開発がほぼ完了していた第4世代の装置が活用されました。排水中ホウ素も環境水質監視の重要な項目のひとつですが、このほかにも、クロム法COD、全シアン、全クロム、全水銀、フェノール、硝酸など、公定法通りの自動化による環境測定や、化学プロセスの成分監視などより幅広いニーズに対応し年間50台の販売を目指します。
以上
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